
仕込みで大切にしているのは、手早く、なるべく手の温度を伝えないこと。
魚に触れる時間を最小限にしながら、包丁の切れ味と手の感覚で状態を読む。 この静かな時間こそが、寿司職人の仕事の核心だと思う。
意識するのは、塩加減、酢加減、そして魚の“体調”。
魚も生き物。季節や産地、海流、餌の違いで、油の乗り方も身の締まりも変わる。 だからその日の魚と向き合って、その個体に合う塩を振り、酢を合わせる。 同じ種類でも、まったく同じ魚は二度といない。
僕の中では「魚を捌く」というよりも、 “骨と身を剥がす”という感覚。
力で切るんじゃなく、包丁で骨の形を感じながら、身を外してあげる。 包丁を動かすんじゃなくて、魚の形に沿って“包丁が勝手に動く”ような状態が理想。
仕込みは、ただの準備じゃない。
その日の素材と対話しながら、最高の状態へと導く時間。
職人の心と魚の命が交わる、いちばん静かで、いちばん深い瞬間だと思っている。
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