フグ引き包丁とは？
フグ引き包丁（ふぐびき）は、ふぐの身を「透けるほど薄く」引くために作られた、柳刃包丁の派生型です。
その最大の特徴は刃の薄さと軽さ。
柳刃よりもさらに細身で、柔らかく繊細な切り口を実現します。
刺身の透明感を出すための包丁として、かつてはふぐ専門の板前に必須の一本でした。
柳刃包丁との違い
柳刃包丁とフグ引きはよく似ていますが、構造と切り方に明確な違いがあります。
以下の表で比較してみましょう。
| 項目 | 柳刃包丁 | フグ引き包丁 |
|---|---|---|
| 刃の厚み | やや厚い（1.8〜2.5mm） | 非常に薄い（1.2〜1.5mm） |
| 刃渡り | 270〜300mm前後 | 300〜330mm前後 |
| 主な用途 | 刺身全般 | フグ・タイ・ヒラメなど薄造り専用 |
| 切り方 | やや厚めに引く | “透けるように”薄く引く |
現代のフグ引きの立ち位置
近年では、柳刃包丁でフグを引く職人も増え、フグ引きを専用で持つ人は減っています。
しかし、熟練職人の間では今も根強い人気があり、薄造りの美しさや包丁操作の軽さを重視する方に選ばれています。
とくに「ふぐ料理専門店」では、刺身の透明度・食感・盛り付けの精度を高めるため、 フグ引きが今でも現役で使われています。
おすすめ素材と選び方
- ⚪ 白鋼： 切れ味が鋭く、繊細な作業向き。錆びやすいのでこまめな手入れが必要。
- 🟦 青鋼： 切れ味・耐久性のバランスが良く、長時間の仕事に最適。
- 💧 ステンレス（V金10号）： 錆びにくく扱いやすい。出張料理人や家庭用にもおすすめ。
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フグ引き包丁は職人の数が減っており、生産本数が限られています。
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まとめ
フグ引き包丁は、薄造りの究極を追求するために生まれた職人道具です。
時代とともに使用頻度は減りましたが、“刃先で料理を魅せる”という日本料理の原点を象徴する一本。
柳刃とは違う「静けさと緊張感」があり、扱うたびに職人としての感覚が研ぎ澄まされます。
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