酢はすべて同じように見えて、実はまったく異なる“個性”を持っています。 特に寿司の世界では、米酢・黒酢・赤酢の使い分けが味の印象を大きく左右します。 この記事では、それぞれの酢の特徴・風味・使いどころを、寿司職人の視点から解説します。
米酢|最もスタンダードな“清らかな酸”
米酢(こめず)は、米を原料にした柔らかい酸味が特徴。 香りが穏やかでクセがなく、素材の風味を邪魔しない万能タイプです。 関西ではこの米酢をベースにした“甘めのシャリ”が好まれます。 家庭でも扱いやすく、寿司以外の料理にも幅広く使えます。



黒酢|コクと深みを生む“熟成の酸”
黒酢は玄米や大麦を使い、長期間熟成させた濃厚な酢。 香ばしさと丸みがあり、旨味成分(アミノ酸)が多いため、深みのある味を演出します。 寿司屋では、赤酢や米酢に少量ブレンドして“コク”を加える目的で使われることもあります。



赤酢|江戸前寿司を支える“旨味の酸”
赤酢は酒粕を原料に作られる、もっとも重厚な酢。 まろやかな酸味と熟成香があり、シャリに深い旨味を与えます。 特にマグロや光り物など、脂の乗った魚との相性が抜群。 江戸前寿司の“茶色いシャリ”の正体が、この赤酢です。



3種の比較表
| 種類 | 特徴 | 香り | 酸味 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|
| 米酢 | 軽やかで透明感のある酸味 | やさしい | ◎ | 白身・野菜・家庭用 |
| 黒酢 | 熟成による旨味とコク | 香ばしい | ○ | 煮切り・タレ・中トロ |
| 赤酢 | 旨味の厚みとまろやかさ | 熟成香 | △(穏やか) | マグロ・光り物・江戸前寿司 |
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まとめ
米酢は清らか、黒酢は深み、赤酢は旨味。 この3つの酢を理解して使い分けることで、寿司の世界は一段と広がります。 赤酢だけが特別ではなく、それぞれが持つ個性をどう活かすか—— それが職人の感性であり、酢の“設計力”なのです。
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